ナフサ不足のニュースを追っていると、韓国の名前が何度も出てきます。「韓国も同じ問題を抱えているの?」「日本より深刻?それとも対応がうまい?」「韓国からの輸入が止まると日本にも影響があるの?」と気になっている方も多いはずです。この記事では、韓国のナフサ事情と日本との違いを整理します。
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「ナフサと韓国」を簡単にまとめると
韓国も日本と同様に中東産ナフサへの依存度が高く、2026年のホルムズ海峡封鎖で深刻な打撃を受けています。韓国政府はナフサ輸出を原則禁止する緊急措置を取るほど追い詰められており、日本にとっては「競合する調達相手」かつ「石化製品の重要な輸入元」という二重の関係にあります。
韓国は石油化学産業の規模が製造業全体に占める割合が大きく、LG化学・ロッテケミカルなど世界的な大手が麗水産業団地を拠点に集積しています。日本と共通する脆弱性を持ちながら、対応の速度や政府の動きに違いが見られます。
韓国の薬局に貼ってあった案内文です。
— ナユタ🇯🇵 (@nazenazekankoku) May 3, 2026
「投薬瓶は1個のみ提供、購入不可。トランプのせいです。」
李在明政府の外交失敗によりナフサ供給が逼迫している韓国。
ゴミ袋から始まり、薬局の投薬瓶まで品薄状態なのに、国民まで「トランプ大統領のせい」だと言い出す始末🤦♂️… pic.twitter.com/s332YbtUEj
ナフサとは?韓国との関係を理解するための前提
ナフサは原油を蒸留して得られる石油製品で、プラスチック・合成繊維・合成ゴムなど現代の化学製品のほぼすべての出発原料です。エチレンプラント(ナフサクラッカー)でナフサを高温分解することでエチレン・プロピレンなどの基礎化学品が生まれ、そこから無数の製品が作られます。
韓国の石油化学産業は製造業全体の生産の約6%、輸出の約8%を占める主力産業です。「産業の米」とも呼ばれ、自動車・電子機器・建材など韓国の主要産業すべてに不可欠な原材料を供給しています。
韓国のナフサ調達構造と中東依存
韓国は通常、ナフサの約半分を中東から輸入しています。日本(中東から約45%を直接輸入)とほぼ同水準の中東依存構造を持っています。
2026年2月末のホルムズ海峡封鎖を受けて、韓国の石油化学大手は即座に打撃を受けました。全羅南道・麗水産業団地ではロッテケミカルが設備の定期補修を前倒しして工場の稼働を停止し、LG化学やヨチョンNCCも一部設備の停止や稼働率の引き下げに踏み切りました。これらはナフサ在庫の消耗を抑えるための戦略的対応とみられています。
「調べてみて最初に驚いたのは、韓国と日本がほぼ同じ構造的な脆弱性を持っているという事実でした。」隣国なのだからある意味当然かもしれませんが、エネルギー安全保障という観点で見ると、東アジア全体が同じリスクにさらされているという構造には改めて考えさせられました。
アジアに輸送されるナフサの価格は、ホルムズ海峡封鎖後に60%以上高騰しており、日本も韓国も同じ高騰した市場でナフサを奪い合う立場に置かれています。
韓国政府の対応——ナフサ輸出禁止という強硬策
韓国政府が日本と大きく異なる対応を取った点のひとつが、ナフサの輸出禁止措置です。
韓国政府は危機発生後に国内で生産・保有されるナフサの輸出を原則禁止する緊急措置を実施しました。期間は5か月間で、これにより短期的には業界の持ちこたえが可能となり、当初懸念されていた3月末の全面停止は回避されたとみられています。
この措置は日本にとって直接的な影響をもたらしました。日本は代替調達先のひとつとして韓国からのナフサ調達も模索していましたが、韓国の輸出禁止によりその選択肢が閉じられました。非中東調達の一角が崩れる形になり、日本の代替調達計画にさらなる制約が加わりました。
日本と韓国の違いを整理すると
日本と韓国のナフサ事情には共通点と相違点があります。
共通点として、中東産ナフサへの高い依存度、エチレン原料のほぼ全量をナフサに頼る構造、ホルムズ海峡封鎖による直撃という点が挙げられます。
相違点としては対応の速度と方針が異なります。韓国は輸出禁止という強制力のある措置を早期に打ち出しました。また韓国はロシア産ナフサの輸入検討を対応策のひとつとして明示的に俎上に載せており、これまで取引のなかった調達先を含めた柔軟な対応を見せています。
一方で注目されているのが日本の対応の「速度の差」です。ある分析では「韓国がそれをやっている」という表現で、日本より韓国の方が代替調達の動きが早かったという指摘がなされています。
| 日本 | 韓国 | |
|---|---|---|
| 中東依存度 | 約45%(直接輸入) | 約50%(通常時) |
| 主要企業 | 三菱ケミカル・三井化学・旭化成など | LG化学・ロッテケミカルなど |
| 国家備蓄 | 原油約250日分(ナフサ備蓄なし) | 同様の構造 |
| 緊急対応 | 備蓄放出・代替調達倍増 | ナフサ輸出禁止・ロシア産検討 |
| 日本との関係 | 石化製品の重要輸入元 | 日本の輸入の約31%を供給 |
韓国が止まると日本にも波及する
韓国のナフサ問題は韓国国内だけの話ではなく、日本のサプライチェーンに直接影響します。
石油化学工業協会の統計によれば、日本が輸入するエチレン・ポリエチレンなどの石化製品のうち約31%が韓国からの輸入です。これはASEAN諸国(33%)に次ぐ第2位の供給元です。
韓国の石化プラントが稼働を落とすと、これら中間原料の対日輸出が減少し、日本のサプライチェーンをさらに直撃します。「韓国やASEANは日本以上に石油需給が逼迫しており、こうした国々で石化製品の製造がストップすれば日本のサプライチェーンを直撃する」という指摘がJBpressの分析でなされており、東アジア全体での連鎖的な影響が懸念されています。
よくある質問
Q1:韓国のナフサ問題は日本より深刻ですか?
どちらも深刻で、程度の差はあれ同じ構造的脆弱性を持っています。韓国の石油化学産業は製造業に占める割合が日本より大きいため、産業全体への影響度という意味では韓国の方が大きいとも言えます。一方で韓国は政府の緊急対応(輸出禁止など)が早かったという評価もあります。
Q2:韓国はなぜナフサの輸出を禁止したのですか?
国内の石油化学産業を守るためです。韓国は石油化学産業が輸出産業の主力であり、国内での原料確保を優先することで工場の全面停止を回避しようとしました。ただし輸出量自体が多くなかったため効果は限定的との見方もあります。
Q3:韓国がロシア産ナフサを検討しているのはなぜですか?
代替調達先として地理的に近く、一定の供給量が見込めるためです。ただしロシア産原油・ナフサの取引には西側諸国の制裁に関連するリスクがあり、検討段階にとどまっている状況です。日本は政府の立場上、ロシア産ナフサの調達を公式な選択肢として打ち出してはいません。
Q4:韓国からの石化製品輸入が止まると日本にどんな影響がありますか?
日本が輸入する石化製品(エチレン・ポリエチレンなどの中間原料)の約31%が韓国産です。韓国の生産が落ちると、この供給が細り、日本の川中・川下メーカーの原料不足がさらに深刻になります。国内でのナフサ不足と輸入減少が重なる二重苦になるリスクがあります。
Q5:韓国と日本が協力してナフサを確保する動きはありますか?
個別企業レベルでの動きはあるものの、政府レベルでの日韓共同調達の枠組みは2026年5月現在確認されていません。むしろ双方が限られた非中東ナフサを奪い合う競合関係にある面があります。IEAの共同行動計画には両国が参加していますが、石化原料に特化した協力枠組みは未整備です。
Q6:韓国の石油化学産業はどのくらい大きいですか?
韓国全体の製造業生産の約6%、輸出の約8%を占める主力産業です。LG化学・ロッテケミカルは世界的な規模を持つ企業で、麗水産業団地は東アジア最大級の石油化学コンビナートのひとつです。この産業の停滞は韓国経済全体に大きな打撃を与えます。
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韓国のナフサ事情は日本と非常に似た構造的脆弱性を持っており、2026年のホルムズ海峡封鎖で同様の打撃を受けています。ロッテケミカル・LG化学など主要企業の稼働率低下、政府によるナフサ輸出禁止という強硬措置、ロシア産ナフサの検討——これらは韓国が追い詰められている現実を示しています。
日本にとって韓国は「石化製品の重要な輸入元(約31%)」であると同時に「代替ナフサ調達での競合相手」という二重の関係にあります。韓国の生産が止まれば日本への影響も避けられず、東アジア全体での連鎖を意識した対応が求められています。
この記事を書きながら、「日本だけの問題ではない」という視点を持つことの重要さを感じました。隣国の韓国も同じ脆弱性を抱え、同じ市場でナフサを探している——この事実を知ってから、ニュースの見方が少し広くなった気がします。国際的なサプライチェーンのつながりを今後も意識して追いかけていこうと思っています。

