「化粧品ってナフサと関係あるの?」——ナフサ不足のニュースを見ながら、ふとそう思いました。「スキンケアにも石油が入っているの?」「成分表示のどれがナフサ由来?」「オーガニックコスメなら関係ない?」と疑問に思っている方も多いはずです。この記事では、ナフサと化粧品の関係を成分・容器・現在の影響という3つの角度から整理します。
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「ナフサと化粧品」を簡単にまとめると
現代の化粧品は「中身の成分」と「容器」の両方にナフサ由来の原料が使われており、ナフサ不足は化粧品の値上がりに二重の経路で影響します。
ミネラルオイル・シリコン・合成界面活性剤・合成香料・タール系色素など、化粧品成分表示に並ぶ多くの成分がナフサを出発原料としています。オーガニックや天然由来をうたう製品も、容器や一部の製造工程でナフサ由来の化学原料を使っているケースが多く、完全に無縁とは言えません。
ナフサとは?化粧品との関係を理解しよう
ナフサは原油を蒸留して得られる石油製品で、エチレン・プロピレン・ベンゼンなど石油化学基礎製品の出発原料です。プラスチック・合成繊維・合成ゴム・洗剤など現代のほぼすべての化学製品がナフサを起点として作られています。
化粧品とナフサの関係は、大きく分けると2つのルートがあります。ひとつはナフサから直接作られる石油系成分が化粧品の原料になるルート、もうひとつはナフサ由来のプラスチックが容器・パッケージに使われるルートです。
調べ始めるまで、化粧品と石油はまったく別の世界だと思っていました。成分表示を改めてじっくり読んでみると、「ミネラルオイル」「PEG」「シリコン」という見慣れた言葉がナフサ由来だということを初めて知って、帰り道ずっとそのことを考えていました。
化粧品の「中身」に含まれるナフサ由来成分
ミネラルオイル(流動パラフィン)
化粧品成分表示で「ミネラルオイル」または「流動パラフィン」と書かれているものは、石油を蒸留・精製して得られる液状の炭化水素混合物です。ナフサと同じ石油精製の工程から得られる成分で、化学的に安定しており酸化しにくいという特性から、クリーム・化粧下地・クレンジング・日焼け止め・ヘアスタイリング剤など非常に幅広い製品に使われています。
化粧品全体の約70〜90%を占める「基剤」のうち、油性成分の代表格がこのミネラルオイルです。肌への安全性は高く評価されており、医療用の保湿剤としても使われています。
シリコン(ジメチコン・シクロメチコンなど)
成分表示に「〜コン」「〜シロキサン」という名前で登場する成分がシリコンです。ジメチコン・シクロメチコン・ジメチコノールなどが代表的で、ケア成分が肌に留まりやすくする役割や、さらっとした使用感を出す役割があります。
シリコンはナフサ由来のエチレンを経由した石油化学品を製造工程で使って作られます。ファンデーション・日焼け止め・ヘアケア製品・化粧下地など幅広い製品に配合されており、現代の化粧品の使用感を大きく左右する成分です。
「シリコンフリー」をうたった製品が増えていますが、シリコンを使わなくても他のナフサ由来成分が入っているケースは多く、「石油由来フリー」とは意味が異なります。
合成界面活性剤
洗顔料・シャンプー・乳液など、水と油を混ぜ合わせる役割を持つ界面活性剤の多くがナフサ由来です。成分表示では「ラウリル硫酸ナトリウム」「ポリソルベート」「PEG(ポリエチレングリコール)-○○」「セテス-○○」などの名称で登場します。
PEG(ポリエチレングリコール)はナフサ由来のエチレンオキサイドから作られる代表的な成分で、保湿剤・乳化剤・溶剤として化粧水・乳液・クリームなどに幅広く配合されています。
合成香料・タール系色素
化粧品の香りをつける合成香料の多くはナフサのトルエン・ベンゼンなど芳香族留分を原料として化学合成されます。また口紅・ファンデーションなどメイク用品に使われる「赤色202号」「青色204号」などのタール系色素も石油由来です。
化粧品の「容器」に含まれるナフサ由来成分
化粧品の中身だけでなく、容器・パッケージもナフサと深く関係しています。
シャンプーボトル・乳液のポンプ容器・口紅のケースに使われるポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)・ポリエチレンテレフタレート(PET)は、いずれもナフサを熱分解して得るエチレン・プロピレンを重合して作られる典型的な石油化学製品です。
つまりナフサが不足すると、化粧品の「中身の原料コスト」と「容器の原料コスト」が同時に上昇するという二重の値上がり圧力が生じます。
| 成分表示の例 | 主な用途 | 使われる製品 | |
|---|---|---|---|
| ミネラルオイル | ミネラルオイル・流動パラフィン | 油性基剤・保湿 | クリーム・クレンジング・下地 |
| シリコン | ジメチコン・シクロメチコン | 使用感・密着性 | ファンデーション・ヘアケア・日焼け止め |
| 合成界面活性剤 | PEG-〇〇・ポリソルベート | 乳化・洗浄・保湿 | 洗顔・化粧水・乳液・シャンプー |
| タール系色素 | 赤色202号・青色204号 | 着色 | 口紅・ファンデーション・アイシャドウ |
| 容器素材 | PE・PP・PET | 容器・パッケージ | ボトル・チューブ・ケース全般 |
オーガニックコスメはナフサと無縁なのか
「天然由来」「オーガニック」をうたった化粧品なら石油由来成分がないのでは、と思う方も多いはずです。
結論から言うと、完全にナフサと無縁の化粧品はほとんど存在しません。天然由来の美容成分を使っていても、乳化剤・防腐剤・合成香料などにナフサ由来の化学原料を使うケースが多いためです。また「天然由来の成分」でも、製造工程でエチレンオキサイド(ナフサ由来)などを反応させて改質するケースがあります。
さらに容器はほぼ例外なくナフサ由来のプラスチックが使われています。ガラス容器を採用しているブランドでもキャップ・ポンプ・パッキンにプラスチックが使われている場合がほとんどです。
ナフサショックの影響という観点では、オーガニックブランドも容器コストの上昇は避けられない状況です。
2026年のナフサ不足で化粧品にどんな影響が出るか
ナフサ不足は化粧品業界にも確実に波及しています。化粧品ボトルの原料となるPE・PPはナフサ由来であり、容器コストの上昇がメーカーを直撃しています。中身の成分コストも、ミネラルオイル・シリコン・合成界面活性剤など主要原料の価格が上昇しています。
ナフサショックの影響は食品包装や建材ほど緊急性は高くないものの、2026年夏以降に化粧品全般で値上げの第2波が来るとの見方があります。高価格帯よりもドラッグストアで売られる日常的なスキンケア・ヘアケア製品の方がコスト転嫁の影響が大きく出やすい構造になっています。
よくある質問
Q1:成分表示のどれを見ればナフサ由来とわかりますか?
「ミネラルオイル」「流動パラフィン」「ワセリン」「ジメチコン」「シクロメチコン」「PEG-〇〇」「ポリソルベート」「ラウリル硫酸ナトリウム」「タール系色素(赤色〇〇号など)」がナフサ由来の可能性が高い成分です。これらが成分表示の上位に来るほど配合量が多いことを示します。
Q2:肌への悪影響はありますか?
ナフサ由来の成分が肌に悪いとは言い切れません。ミネラルオイルは医療用保湿剤としても使われ安全性が高く評価されています。ただし合成界面活性剤は使いすぎると必要な皮脂まで落とす可能性があります。成分の由来より、自分の肌質に合っているかどうかを基準に選ぶことが重要です。
Q3:ナフサ不足で化粧品が買えなくなりますか?
即座に棚から消えるほどの品不足にはなりにくいと見られています。ただし容器コスト・原料コストの上昇が続いており、2026年夏以降は値上げの波が広がる可能性があります。
Q4:石油由来成分を使わない化粧品はありますか?
完全に石油由来成分ゼロの化粧品を作ることは現実的に非常に難しいです。容器だけでもほぼ必ずプラスチックが使われているためです。「石油系成分フリー」をうたう製品は中身の特定成分を省いているものが多く、「容器も含めて完全フリー」という意味ではありません。
Q5:化粧品の値上がりはいつごろから本格化しますか?
2026年春の第1波はゴミ袋・食品包装など消耗品が中心でした。化粧品・ヘアケア用品への値上がりは2026年夏〜秋以降に本格化するとの見方があります。成分原料の価格上昇が容器コストの上昇と重なる時期が値上がりのタイミングになると考えられます。
Q6:化粧品の値上がりへの対策はありますか?
大容量タイプへの切り替えや、ドラッグストアのPB(プライベートブランド)スキンケアへの移行が現実的な対策です。また詰め替え用パウチタイプはボトル容器より原料コストが低い場合があり、同成分で安く済む選択肢になります。
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現代の化粧品は「中身の成分」(ミネラルオイル・シリコン・合成界面活性剤・合成香料など)と「容器」(PE・PP・PETなど)の両方にナフサ由来の原料が使われており、ナフサ不足は化粧品コストに二重の上昇圧力をもたらします。
オーガニック・天然由来をうたった製品も容器や製造工程でナフサ由来原料を使うケースが多く、完全に無縁とは言えません。2026年夏以降、日常的なスキンケア・ヘアケア製品での値上がりが本格化する可能性があります。
この記事を書いて、自分が毎日使っている化粧水や乳液の成分表示を初めてじっくり見返しました。「ミネラルオイル」「PEG」「ジメチコン」——見慣れた言葉がすべてナフサにつながっていることを知ってから、何気なく使っている製品の見方がかなり変わりました。石油由来だからといって避けるのではなく、何が入っているかを知ったうえで選ぶ習慣を、これからは意識していこうと思っています。

