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ナフサはどうやって作られる?原油からの製造工程をわかりやすく解説

ナフサはどうやって作られる?原油からの製造工程をわかりやすく解説 生活・文化

「ナフサって原油から作るって聞くけど、具体的にどうやって作るの?」——調べ始めたきっかけはそんな素朴な疑問でした。「蒸留って何?」「製油所ではどんな工程があるの?」「ガソリンと同じ作り方なの?」と気になっている方も多いはずです。この記事では、原油からナフサができるまでの製造工程を、専門知識なしでも理解できるよう順を追って解説します。

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「ナフサの作り方」を簡単にまとめると

ナフサは、原油を約300〜350℃に加熱して常圧蒸留塔(トッパー)に通し、沸点の違いを利用して分離することで得られます。

この段階で取り出されたナフサは「直留ナフサ」と呼ばれる半製品で、その後に硫黄分を除去する精製処理を経て石油化学原料として出荷されます。工程自体はシンプルですが、その背後にある設備の規模と精度は想像を超えるものがあります。

ナフサとは?作り方を理解するための前提

ナフサは原油を精製して得られる石油製品のひとつで、プラスチック・合成繊維・合成ゴム・洗剤など現代の化学製品のほぼすべての出発原料です。無色透明でガソリンに似た見た目をしていますが、自動車燃料としてではなく化学工業の原料として使われます。

原油はもともと、さまざまな炭化水素が混ざり合った黒い液体です。炭素の数が少ない分子ほど沸点が低く、多いほど沸点が高くなります。この沸点の違いを利用して成分を分離する操作が「蒸留」であり、ナフサ製造の核心です。

調べ始める前は、ナフサは何か特別な化学反応で作られるものだと思っていました。実際には加熱して分離するというシンプルな原理に基づいており、「言われてみれば確かに」という感じでした。

ナフサができるまでの製造工程

工程1:原油の受け入れと前処理

タンカーで運ばれてきた原油は、製油所の岸壁から直接パイプラインで受け入れられ、大型の原油タンクに貯蔵されます。

この段階でまず行われるのが前処理です。原油には水分・泥・塩分などの不純物が混じっているため、脱塩・脱水処理を行います。これを怠ると蒸留装置が腐食したり、品質に悪影響が出たりするためです。

工程2:加熱炉で温める

前処理を終えた原油は「加熱炉(ヒーター)」に送られ、約300〜350℃まで加熱されます。この高温によって原油は液体と蒸気が混ざり合った状態になります。

この温度は家庭のオーブンの最高温度(約300℃)に近い水準で、工業規模での加熱がいかに大規模なものかが想像できます。

工程3:常圧蒸留塔(トッパー)での分離

加熱された原油は「常圧蒸留塔」と呼ばれる巨大な縦型の塔に吹き込まれます。塔の高さは数十メートルに達するものもあります。

塔の内部では、沸点の低い成分ほど上部へ上昇し、沸点の高い成分ほど下部に残る仕組みになっています。塔の各段に「トレイ」と呼ばれる棚があり、それぞれの沸点に対応した位置で液体として取り出されます。

上部から順に取り出される主な留分と沸点の目安は以下の通りです。

石油ガス(LPG)は最も沸点が低くマイナス数十℃〜0℃程度で塔の最上部から取り出されます。次にナフサが30〜200℃の範囲で取り出されます。続いて灯油が150〜250℃、軽油が240〜350℃、そして350℃以上の成分が残油(重油)として塔の底部に残ります。

原油全体に占めるナフサの割合は約10%です。原油を100リットル処理しても、ナフサとして取り出せるのは約10リットルという計算になります。

工程4:軽質・重質への分離

蒸留塔から取り出されたナフサは、さらに沸点の範囲によって「軽質ナフサ」と「重質ナフサ」に分けられます。

軽質ナフサは沸点がおおむね30〜90℃の留分で、炭素数5〜6程度のパラフィンが主成分です。日本では石油化学工業のエチレンプラント原料として最も多く使われます。重質ナフサは沸点がおおむね90〜200℃の留分で、炭素数6〜10程度が主成分です。接触改質装置でガソリンやベンゼン・トルエン・キシレン(BTX)の原料として使われます。

工程5:水素化脱硫(精製処理)

蒸留で取り出したナフサをそのまま石油化学原料として使うことはできません。原油に含まれる硫黄分がそのままナフサに残っており、後の化学工程で触媒を劣化させたり製品品質を落としたりするためです。

「水素化脱硫装置」と呼ばれる設備で水素と反応させ、硫黄分を硫化水素(H₂S)として取り除きます。この処理を経て、ようやく石油化学原料や燃料として出荷できる品質のナフサになります。

工程名 温度・条件 目的
前処理(脱塩・脱水) 常温 不純物除去
加熱炉 300〜350℃ 原油を気化・液体混合状態に
常圧蒸留塔(トッパー) 沸点差で分離 ナフサを留分として取り出す
軽質・重質への分離 再蒸留 用途別に分ける
水素化脱硫 水素と反応 硫黄分を除去して品質を整える

ナフサの作り方とガソリンの作り方の違い

「ナフサとガソリンは同じ原油から作るから、作り方も同じでは?」と思う方も多いと思います。実際、蒸留という基本の工程は共通ですが、その後の処理が大きく異なります。

蒸留で取り出した段階のナフサ(直留ナフサ)は、化学原料としてはそのまま使えますが、自動車燃料としては使えません。エンジン内で異常燃焼(ノッキング)を引き起こしやすいためです。

ガソリンとして使うには「接触改質装置(リフォーマー)」に送り、白金などの触媒を使って分子構造を変化させ、オクタン価を高める必要があります。一方、石油化学原料として使う軽質ナフサは、脱硫処理だけ行えばそのままエチレンプラントに投入できます。

同じ蒸留塔から取り出されたナフサでも、その後の行き先によって「ガソリンの素材」になるか「プラスチックの素材」になるかが決まります。

よくある質問

Q1:ナフサは原油から簡単に作れますか?

基本原理はシンプルですが、工業規模での製造には巨大な設備と高度な運用技術が必要です。常圧蒸留塔は数十メートルの高さに達する装置で、24時間365日連続運転が前提です。また原油の産地によって成分が異なるため、品質管理にも専門的なノウハウが必要です。

Q2:ナフサはガソリンと同じ工程で作られますか?

蒸留(分離)という基本工程は共通です。ただしガソリンは接触改質でオクタン価を高める追加処理が必要なのに対し、石油化学用の軽質ナフサは脱硫処理後にそのまま使えます。同じ原料から分岐する関係にあります。

Q3:原油1リットルからナフサはどのくらい取れますか?

原油全体に占めるナフサの割合は約10%です。原油1リットルから取れるナフサはおよそ100ミリリットル程度の計算になります。残りはガソリン・灯油・軽油・重油などに分配されます。

Q4:ナフサを作るのに触媒は必要ですか?

蒸留によるナフサの取り出し工程では触媒は使いません。触媒が必要になるのは後工程の水素化脱硫や接触改質の段階です。ナフサを取り出す蒸留工程は純粋に熱と沸点差の物理的な分離操作です。

Q5:軽質ナフサと重質ナフサはどう使い分けられますか?

軽質ナフサ(沸点30〜90℃)はパラフィン分が多くエチレン製造に適しているため、石油化学のエチレンプラント原料として使われます。重質ナフサ(沸点90〜200℃)はナフテン・芳香族分が多く、接触改質でガソリン基材やBTX(ベンゼン・トルエン・キシレン)の製造に使われます。

Q6:ナフサの製造コストはどのくらいですか?

ナフサの価格は原油価格と連動しており、2025年時点で1トンあたり600〜700ドル程度が一般的な水準でした。2026年の中東情勢悪化後は1,100ドル前後まで急騰しており、わずか2週間で約60%値上がりした局面もありました。製造コストのほとんどは原料となる原油の調達コストが占めます。

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まとめ

ナフサは原油を約300〜350℃に加熱し、常圧蒸留塔(トッパー)で沸点の違いを利用して分離することで得られます。その後、軽質・重質に分けられ、水素化脱硫で硫黄分を除去して初めて石油化学原料として出荷できる状態になります。原油全体に占めるナフサの割合は約10%で、決して多くはありません。

この「加熱して分ける」というシンプルな原理の裏側に、数十メートルの蒸留塔・24時間連続運転・精密な品質管理という巨大な工業インフラがあることを知ると、日用品の値段にナフサの価格が反映される理由がより実感を持って理解できます。

この記事を書いて、蒸留という中学の化学で習ったシンプルな原理が、現代文明を支える巨大産業の根幹にあるという事実がとても印象に残りました。次はこのナフサがエチレンを経てプラスチックに変わるまでの流れも、改めて意識して見ていこうと思っています。

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