子どもを車に乗せるとき、ついつい「目の届く助手席に座らせたい」と思ってしまうことってありますよね。でも周りから「非常識だ」という声を聞いたり、安全性について心配になったりすることもあるでしょう。この記事では、ジュニアシートを助手席に設置することについて、法律の観点から安全性、そして正しい使い方まで、わかりやすく解説していきます。
6歳に「AちゃんもBちゃんも助手席に座らせてもらってるのになんでうちはダメなの⁈」と言われたんだけど、その家のルールがあるからねぇ。私は、助手席でジュニアシート着用時のエアバッグの危険性、置くだけのブースターの安全性を考慮した結果140cm以上になるまでは乗せたくないんだよなぁ…
— 鰯 (@chononeko) January 8, 2021
ジュニアシートを助手席につけるのは法律違反なの?
まず最初に気になる「法律違反かどうか」という問題についてお話しします。結論から言うと、ジュニアシートを助手席に設置すること自体は法律違反ではありません。道路交通法では、チャイルドシート(ジュニアシートを含む)の設置位置について具体的な規定がないんです。
道路交通法で定められているのは、6歳未満の子どもにチャイルドシートを使用することが義務付けられているという点だけです。つまり、正しく設置していれば、それが助手席であっても後部座席であっても、法律上は問題ないということになります。
ただし、6歳を超えた子どもについては法的な使用義務はなくなります。とはいえ、体格が小さい子どもの場合は、引き続きジュニアシートを使用することが安全面から強く推奨されています。
警察に捕まることがあるとすれば、それはチャイルドシート自体を使用していない場合や、正しく設置されていない場合です。助手席に設置しているからという理由だけで違反になることはありません。
なぜ「非常識」と言われるのか?世間の声と理由
法律違反ではないのに、なぜ「非常識」という声があるのでしょうか。それには明確な理由があります。
多くの人が助手席へのジュニアシート設置を批判するのは、安全性への配慮が足りないと感じるからです。実際、インターネット上の意見を見ると「助手席にチャイルドシートをつけてると堂々と言う親は信じられない」「車の安全設計をわかっていない証拠」といった厳しい声が多く見られます。
こうした意見の背景には、子どもの安全を最優先すべきという考え方があります。目の届く場所に子どもを座らせたい親心は理解できても、それ以上に重要なのは万が一の事故の際の安全性だという考え方です。
交通安全の専門家や多くの保護者は、車内で最も危険な場所に子どもを置く行為を厳しく批判します。研究によると、後部座席の中央は事故発生時に最も安全な場所とされ、その位置での死亡率は他の座席に比べて約25%低いとされています。
社会的な安全認識として「小さな子どもは後部座席で保護されるべき」という考え方が強いため、助手席にジュニアシートを設置すると「子どもの安全が十分に考慮されていない」と見なされてしまうんです。
助手席にジュニアシートを設置する危険性とは
では具体的に、助手席にジュニアシートを設置することのどこが危険なのでしょうか。最も大きなリスクは、エアバッグの存在です。
助手席に設置されているエアバッグは、成人の体格を想定して設計されています。事故が発生してエアバッグが作動すると、時速200~300キロメートルという猛スピードで膨らむんです。この衝撃は大人にとっては命を守るものですが、体の小さい子どもにとっては非常に危険なものになります。
特に後ろ向きのチャイルドシートを助手席に設置した場合、エアバッグが作動すると背もたれを直撃し、子どもに致命的なダメージを与える可能性があります。自動車メーカーも、後ろ向きでの助手席設置は絶対にしないよう強く警告しています。
前向きのジュニアシートであっても、エアバッグの衝撃で子どもが押しつぶされたり、首や胸部にダメージを受けたりする危険性があります。実際に2021年8月には、助手席のジュニアシートに乗っていた子どもだけが腹部圧迫によって亡くなるという悲しい事故も発生しています。
また、助手席は事故の際に衝撃を受けやすい位置でもあります。特に正面衝突の場合、助手席側は車の前方部分がつぶれやすく、衝撃が直接乗員に伝わりやすいんです。
最近長女が○○ちゃんみたいにここ(助手席)座りたい!って言ってくる。毎回なだめるの大変過ぎてお迎え行くのダルい。
— なっつ🧸 (@Natsunomama87) May 13, 2024
助手席って乗っていいの?乗れても命の危険あるし、絶対乗せたく無いんだけど。子供乗せたと思ったら秒で発進する車もおるしジュニアシート使って無いんか?
ジュニアシートとチャイルドシートの違いとは
ここで、ジュニアシートとチャイルドシートの違いについて整理しておきましょう。実は「チャイルドシート」という言葉は、子ども用シート全般を指す総称として使われることが多いんです。
厳密には、子どもの年齢や体格によって3つのタイプに分かれています。
ベビーシートは、新生児から1歳頃までの赤ちゃん用です。体重の目安は13キログラム未満で、必ず後ろ向きに設置します。首がまだしっかりしていない赤ちゃんを守るために、進行方向とは逆向きにすることで衝撃を分散させる設計になっています。
チャイルドシートは、1歳頃から4歳頃までの幼児用です。体重の目安は9~18キログラム程度で、前向きに設置するタイプが一般的です。
そしてジュニアシートは、4歳頃から11歳頃まで使用します。体重15キログラム以上、身長100センチメートル以上が目安です。ジュニアシートは座面を高くして、大人用のシートベルトを子どもの体格に合わせて使えるようにするためのものです。
これらは兼用できるタイプもあり、長く使えるものもあります。ただし、子どもの成長に合わせて適切なタイプを選ぶことが安全のために重要です。
やむを得ず助手席に設置する場合の注意点
原則として後部座席への設置が推奨されますが、車の構造上どうしても助手席に設置せざるを得ない場合もあるかもしれません。その場合は、以下の点に十分注意してください。
まず、エアバッグのオン・オフ機能がある車の場合は、必ずオフにしましょう。エアバッグを無効にすることで、作動時の危険を回避できます。ただし、すべての車にこの機能があるわけではないので、取扱説明書で確認が必要です。
エアバッグのオフ機能がない場合は、シートを可能な限り後ろにスライドさせてください。エアバッグとジュニアシートの間に十分な空間を作ることで、万が一エアバッグが作動した場合でも衝撃を軽減できます。
後ろ向きのチャイルドシート(ベビーシート)は、エアバッグがある助手席には絶対に設置しないでください。これは最も危険な組み合わせです。
設置する際は、必ず取扱説明書に従って正しく固定します。ISOFIXという国際規格に対応している車とシートなら、より確実に固定できます。シートベルトで固定する場合も、緩みがないようしっかりと締めることが大切です。
また、助手席に設置した場合でも、運転中に子どもの様子が気になって頻繁に横を見るのは危険です。前方注意を怠ると、それ自体が事故の原因になってしまいます。
最も安全なジュニアシートの取り付け位置
ジュニアシートを最も安全に設置できる場所は、後部座席です。中でも特に推奨されるのが、後部座席の左側(運転席の真後ろ)です。
後部座席の左側が推奨される理由はいくつかあります。まず、駐車した際に歩道側になることが多いため、子どもを乗せ降ろしする際に親も安全に作業できます。路肩に停車した場合でも、車道側ではなく歩道側から子どもを出し入れできるため、交通事故のリスクが減ります。
また、後部座席は前方からの衝撃を受けにくく、エアバッグの危険もありません。車の構造上、前方がクラッシャブルゾーン(衝撃を吸収する部分)になっているため、後部座席は相対的に安全な空間なんです。
後部座席の中央が最も安全という研究結果もありますが、中央席にはシートベルトの形状や固定方法の問題があることもあります。また、中央に設置すると左右に子どもを増やした場合の配置が難しくなることもあるため、状況に応じて左側か中央かを選ぶとよいでしょう。
取り付ける際は、ISOFIXに対応している車とシートであれば、専用の金具で確実に固定できます。シートベルトで固定する場合は、ベルトがねじれていないか、緩みがないかをしっかり確認してください。
複数の子どもがいる場合の配置方法
二人目や三人目が生まれると、チャイルドシートやジュニアシートをどう配置するか悩みますよね。基本的には全員を後部座席に配置するのが理想的です。
後部座席に3人分のシートが入らない場合は、年齢の高い子どもから順に後部座席に配置し、必要であれば助手席を検討するという考え方もありますが、やはりできる限り全員を後部座席に配置する方法を探すべきです。
スリムタイプのチャイルドシートやジュニアシートを選ぶことで、後部座席に3つ並べられることもあります。製品を選ぶ際に「3台並べられる」という表示があるものを探してみましょう。
また、車を買い替える際には、後部座席が広い車種を選ぶのも一つの解決策です。ミニバンやSUVなど、3列シートの車であれば配置の選択肢が増えます。
どうしても助手席に設置せざるを得ない場合は、最も年齢が高く体格の大きい子どもを助手席にするのが安全面では望ましいとされています。ただし、これもあくまで最終手段であり、基本は全員後部座席という原則を忘れないでください。
ジュニアシートの正しい選び方と使い方
安全性を確保するには、適切なジュニアシートを選び、正しく使うことが重要です。
まず、子どもの年齢、体重、身長に合ったものを選びましょう。ジュニアシートは一般的に体重15キログラム以上、身長100センチメートル以上が対象です。まだこの基準に達していない場合は、チャイルドシートを使い続けることが必要です。
安全基準を満たした製品を選ぶことも大切です。日本では「Eマーク」という安全基準適合マークがついた製品を選びましょう。このマークは国際的な安全基準をクリアしている証です。
背もたれのあるタイプと座面だけのブースタータイプがありますが、安全性を考えると背もたれがあるタイプのほうが推奨されます。側面衝突の際に頭部を守ってくれるためです。
使用する際は、必ず取扱説明書を読んで正しく設置してください。シートベルトの通し方が間違っていると、事故の際に十分な保護機能を発揮できません。
また、定期的にシートベルトの緩みがないか確認することも大切です。使っているうちに少しずつ緩んでくることがあるので、月に一度はチェックする習慣をつけましょう。
子どもが成長して、普通のシートベルトが正しく体にフィットするようになったら、ジュニアシートを卒業できます。一般的には身長140センチメートル以上が目安とされています。
チャイルドシートの着用が免除されるケース
基本的に6歳未満の子どもにはチャイルドシートの使用が義務付けられていますが、実はいくつかの例外があります。
まず、バスやタクシーに乗車する場合は免除されます。これらの車両にチャイルドシートを持ち込んで設置するのは現実的ではないためです。ただし、可能であればチャイルドシートを持参して使用したほうが安全性は高まります。
また、子どもの病気やケガなど、やむを得ない理由でチャイルドシートを使用できない場合も免除されます。例えば、骨折していて通常の姿勢で座れない場合などです。
車の構造上、チャイルドシートを固定できない場合も免除対象です。ただし、最近の車はほとんどチャイルドシートの設置に対応しているので、このケースはかなり限定的です。
定員内の乗車で、全員分のチャイルドシートを設置すると定員を超えてしまう場合も免除されます。例えば、5人乗りの車に大人2人と6歳未満の子ども3人が乗る場合、チャイルドシート3つを設置するのが物理的に困難なことがあります。
ただし、これらは法的な免除であって、安全性の観点からは可能な限りチャイルドシートを使用することが推奨されます。
助手席にジュニアシートは危険なんだね。娘と2人でお出かけというのもまだ当分先になりそうだね🤔
— ケンケン (@KenKen_FUKUOKA) May 22, 2021
私の体験談:助手席から後部座席への切り替え
正直に言うと、子どもが小さい頃、私も何度か助手席にジュニアシートを設置したことがあります。子どもがぐずったときにすぐに手が届くし、様子も見やすいので、つい助手席に座らせてしまっていたんです。
でも、ある日ニュースで助手席のチャイルドシートでの事故を知って、本当に怖くなりました。エアバッグの危険性について詳しく調べたら、想像以上に深刻だったんです。
それからは徹底して後部座席に設置するようになりました。最初は子どもも「前に座りたい」と言って泣きましたが、「後ろのほうが安全なんだよ」と説明し続けたら、今では自分から後部座席に向かうようになりました。
確かに運転中に子どもの様子を確認しづらくなりましたが、ルームミラーで後部座席も見えますし、本当に何かあったら路肩に停車すればいいだけです。運転中に横を向いて確認するほうが、よっぽど危険だということに気づきました。
後部座席の左側に設置するようになってからは、乗せ降ろしも楽になりました。駐車場でも歩道側から作業できるので、車が通り過ぎるのを待つ必要もありません。
友人にも「助手席は危ないよ」と話したら、「知らなかった」という人が意外と多かったです。法律違反じゃないから大丈夫だと思っている人も多いんですよね。でも、法律と安全性は別問題です。
今思えば、目の届く場所に子どもを座らせたいというのは、親のエゴだったのかもしれません。本当に子どものことを思うなら、最も安全な場所に座らせるべきだと強く感じています。
よくある質問
Q1. ジュニアシートは何歳から何歳まで使うべきですか?
ジュニアシートは一般的に4歳頃から使い始め、身長140センチメートルに達するまで使用することが推奨されています。法律上は6歳未満までの使用が義務付けられていますが、6歳を超えても体格が小さい場合は使い続けたほうが安全です。
目安としては、普通のシートベルトが肩にかかり、腰ベルトが腰骨にしっかりかかる状態になったら卒業できます。多くの場合、身長が140センチメートルを超える10歳前後がジュニアシート卒業の時期になります。
Q2. エアバッグをオフにできない車の場合、助手席には絶対に設置できませんか?
絶対に設置できないわけではありませんが、非常に危険なので避けるべきです。どうしても助手席に設置しなければならない場合は、座席を可能な限り後ろにスライドさせて、エアバッグとの距離を取ってください。
ただし、これはあくまで最終手段です。後部座席に設置できる方法を最優先で考えるべきです。車の買い替えや、他の移動手段を検討することも含めて、子どもの安全を第一に考えてください。
Q3. 後部座席の左側と中央、どちらが安全ですか?
研究データによると、後部座席の中央が最も安全とされています。側面衝突の影響を受けにくいためです。ただし、中央席はシートベルトの固定がしにくかったり、ISOFIXに対応していなかったりすることがあります。
そのため、確実に固定できるのであれば中央が理想的ですが、固定に不安がある場合や複数の子どもを乗せる場合は左側(運転席の真後ろ)が推奨されます。左側は乗せ降ろしの際も歩道側になりやすく、実用性も高いです。
Q4. 友人の車に乗るとき、チャイルドシートがない場合はどうすればいいですか?
法律上は、タクシーなど他人の車に乗る場合はチャイルドシートの使用義務が免除されます。しかし、安全性の観点からは使用したほうが良いです。
可能であれば自分のチャイルドシートを持参して設置させてもらいましょう。持ち運びしやすいタイプのチャイルドシートも販売されています。短時間の移動であっても、事故はいつ起こるかわかりません。
どうしてもチャイルドシートが用意できない場合は、最低限シートベルトを着用させ、大人が隣に座ってサポートすることが大切です。
Q5. ジュニアシートを使わないと罰則はありますか?
6歳未満の子どもにチャイルドシート(ジュニアシートを含む)を使用しないと、道路交通法違反になります。違反点数は1点が加算されますが、反則金(罰金)はありません。
ただし、罰則があるかどうかよりも、子どもの命を守るために使用することが重要です。チャイルドシートを使用していない場合、事故の際の死亡率が大幅に高くなることが統計でも明らかになっています。
Q6. 中古のジュニアシートでも安全性に問題ありませんか?
中古品を使用する場合は、慎重に判断する必要があります。事故歴のあるジュニアシートは、見た目に問題がなくても内部構造が損傷している可能性があるため、使用してはいけません。
また、製造から何年も経過している古いものは、安全基準が現在のものと異なる場合があります。取扱説明書があり、使用期限内で、事故歴がないことが確認できる場合のみ使用を検討してください。
可能であれば新品を購入したほうが安心です。子どもの命を守るための投資として考えれば、決して高い買い物ではないはずです。
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ジュニアシートを助手席に設置することは法律違反ではありませんが、エアバッグの危険性や衝突時の安全性を考えると、推奨されない行為です。世間で「非常識」と言われるのは、子どもの安全を軽視していると受け取られるためです。
最も安全な設置場所は後部座席、特に左側(運転席の真後ろ)です。やむを得ず助手席に設置する場合は、エアバッグをオフにする、座席を最大限後ろにスライドさせるなどの対策が必要です。
法律で定められているから守るのではなく、大切な子どもの命を守るために正しい使い方を心がけましょう。目の届く場所に座らせたいという親心は理解できますが、万が一の事故の際に子どもを守れるのは、正しく設置されたジュニアシートだけです。
子どもの年齢、体重、身長に合った適切なジュニアシートを選び、後部座席に正しく設置することで、安心して家族でのドライブを楽しんでください。